COLLECTION REVIEW / AUTUMN WINTER 2026
AURALEEの服は、静かに見える。けれど、2026年秋冬のLook Bookを追うと、その静けさは色を避けた結果ではないことが分かる。
Royal Blue、Cerulean Blue、Lime Yellow、Purple、Light Orange。鮮やかな色を、モールスキンやカシミヤ、レザー、シルク、コーデュロイの質感で受け止める。AYTHでは、色と素材の関係がよく見える5つのLOOKを人物イラストとして再編集した。
QUIET MATERIALS, UNEXPECTED COLOR.

- 色は鮮やかなのに、なぜ静かに見えるのか
- AYTH’S VIEW
- AURALEEとは?素材から服を考える日本のブランド
- なぜAURALEEは「素材のブランド」と呼ばれるのか
- AW2026の現在地|冬の重さを、色と軽さでほどく
- Material Map|硬さと柔らかさを同じLOOKに置く
- Color Map|ニュートラルは色を消すためではない
- LOOK 01|Refined Workwear
- LOOK 02|Color Duffle
- LOOK 03|Soft Color Energy
- LOOK 04|Polished Leather
- LOOK 05|Layered Contrast
- 日常へ取り入れる3つの方法
- AYTH’S SCORE|AURALEE AW2026 コレクション評価
- 静かな服は、色が少ない服ではない
- 掲載情報について
- 参照情報
色は鮮やかなのに、なぜ静かに見えるのか
このコレクションの面白さは、ニュートラルに小さな差し色を足したことではない。強い色をしっかり使いながら、素材の表情、ゆとりあるシルエット、レイヤーの順序によって落ち着きを残していることにある。
レザーは硬く、カシミヤは上品、シルクは繊細。そんな固定観念も、シャツやダウン、フリースのような日常的な形へ置き換えることで少しずつ崩している。色の派手さよりも、服としてどう馴染ませているかを見ると、AW2026の設計が見えてくる。
AYTH’S VIEW
AURALEE AW2026でAYTHが最も面白いと感じたのは、鮮やかな色を「主張」として見せるのではなく、素材の表情へ溶け込ませている点だ。
Royal Blueはレザーでは深く滑らかに、コーデュロイでは陰影を含んで見える。Lime Yellowも、シルクフリースに置かれることで強い蛍光色ではなく、柔らかな光のように働く。色名だけを追うと大胆だが、LOOK全体は不思議なほど落ち着いている。
AYTHはこのコレクションを、ベーシックへ差し色を足した提案ではなく、色・素材・面積・レイヤーの順序を一つの設計として扱ったコレクションと読む。日常でそのまま再現する必要はない。ニュートラルな土台を決め、異なる質感を重ね、最後に一色だけ予想外の色を置く。その考え方だけでも持ち帰れる。
AURALEEとは?素材から服を考える日本のブランド
AURALEE(オーラリー)は、デザイナー岩井良太が2015年にスタートした日本のファッションブランド。メンズとウィメンズの双方を展開し、日常着として理解できるシャツ、ニット、デニム、コート、スラックスなどを、独自に開発した素材と現代的なシルエットで更新してきた。
岩井は文化服装学院を卒業後、パタンナーやデザイナーとして経験を積み、AURALEEを設立。2017年には東京・青山に直営店を開き、2018年にFASHION PRIZE OF TOKYOを受賞した。2019年からパリでコレクションを発表し、現在はパリ・ファッションウィーク公式カレンダーに参加するブランドの一つとなっている。
ただし、AURALEEの魅力は「日本発で海外評価の高いブランド」という肩書だけでは捉えにくい。大きなロゴや分かりやすい装飾よりも、着たときの軽さ、布の落ち方、光の受け方、微妙な色の差によって個性を作るからだ。遠目にはシンプルでも、近づくほど素材と仕立ての情報が増えていく。その静かな奥行きが、ブランドらしさになっている。
ブランド名は「光り輝く大地」を意味する言葉に由来する。公式Aboutでは、朝の光を思わせる穏やかな輝き、抑制から生まれる静かなエレガンス、流行の変化よりも継続性を重視するワードローブという考え方が示されている。目立つための服ではなく、着る人の個性と心地よさを支える服。その姿勢は、AW2026の強い色を使ったLOOKにも共通している。
Sources: AURALEE About / Fédération de la Haute Couture et de la Mode / FASHION PRIZE OF TOKYO
なぜAURALEEは「素材のブランド」と呼ばれるのか
AURALEEの公式Aboutでは、素材と糸の研究、職人との協働、質感・重さ・色の精密なバランス、そして流行を越えて着続けられるワードローブがブランドの核として説明されている。
この姿勢は、単にカシミヤやシルクなどの「高級素材を使う」という話ではない。原料や糸を探し、職人や工場と協働しながら、生地の質感、重さ、色まで服の設計に合わせて組み立てる。一般的な素材イメージと、実際に完成した服の表情がずれるところにAURALEEらしい驚きがある。
たとえば、シルクは繊細でドレッシー、レザーは重く硬い、コーデュロイは素朴でカジュアルという先入観がある。AW2026では、シルクをフリース型のジップブルゾンへ、カーフレザーを軽快なダウンブルゾンやシャツへ、カシミヤをモールスキンやコーデュロイへと展開している。素材名から想像する用途を少しずらしながら、着慣れた日常着の形へ戻している。
同じ青でも、光を返すレザーと、畝が陰影を作るコーデュロイでは見え方が違う。同じワイドパンツでも、シルクネップデニムとカシミヤ混コーデュロイでは落ち方や空気の含み方が変わる。AURALEEのスタイリングでは、色と形だけでなく、表面の違いがレイヤーの奥行きを作っている。
AW2026を読むときも、まず色名だけを見るより、どの素材にその色が置かれているかを見る方が理解しやすい。
AW2026の現在地|冬の重さを、色と軽さでほどく
AW2026は、冬服に期待される重厚さを否定するのではなく、その重さを色と素材で軽く見せたコレクションだ。モールスキン、ムートン、レザー、カシミヤ、コーデュロイといった秋冬らしい素材が並ぶ一方、Light Blue、Ivory Lime、Lime Yellow、Purple、Royal Blue、Light Orangeなど、冬の定番だけではない色が広がる。
シルエットは身体を締めつけすぎず、コート、ブルゾン、シャツ、ニット、ワイドパンツの間に空気を残す。ゆとりは単なるオーバーサイズではなく、異なる素材がぶつからず、それぞれの表面を見せるための余白として働いている。
公式Look Bookのスタイリング/アートディレクションはCharlotte Collet、写真はJody Rogacが担当。さまざまな年齢や背景を想起させるモデルを通して、コレクションを一つの理想像へ固定せず、服が異なる人物の日常へ入り得ることを見せている。AYTHが5つのLOOKを選んだのも、奇抜なものだけを集めるためではない。素材、色、重ね方の仕組みが特に読み取りやすく、実際の着こなしへ翻訳できるLOOKだからだ。
Sources: AURALEE AW2026 Collection / AURALEE AW2026 Look Book
Material Map|硬さと柔らかさを同じLOOKに置く

今回選んだ5 LOOKでは、次の素材が繰り返し現れる。
- Moleskin — 密度があり、マットで落ち着いた表面。
- Calf Leather — なめらかな光沢があり、色を深く見せる。
- Cashmere — 柔らかさと軽さを加え、色同士の境界を和らげる。
- Silk Fleece — シルクを日常的なスポーツ/カジュアルの形へ移す。
- Silk-nep Denim — 不均一な表情が、アイボリーや淡色に奥行きを作る。
- Corduroy — 畝の陰影によって、Royal Blueを単色以上に見せる。
ポイントは、すべてを同じ質感へ揃えないこと。光沢とマット、硬さと柔らかさ、軽さと密度が同居することで、シンプルな重ね着でも平板に見えにくい。
Color Map|ニュートラルは色を消すためではない

この5 LOOKでは、Ivory WhiteとTop Charcoalが大きな土台になる。その上に、Faded Aqua Green、Cerulean Blue、Royal Blue、Purple、Lime Yellow、Light Orange、Greenが置かれている。
鮮色を複数使っても騒がしく見えにくいのは、明るいアイボリーと深いチャコールが面積を受け持っているからだ。色はすべてを均等に見せるのではなく、役割を分けている。
- Base — Ivory White、Top Charcoal、Black
- Bridge — Faded Aqua Green、Green、Purple
- Signal — Royal Blue、Cerulean Blue、Lime Yellow、Light Orange
日常のスタイリングでも、この順序を意識すると色を増やしやすい。
LOOK 01|Refined Workwear

Faded Aqua Greenのモールスキンブルゾン、Royal Blueのカーフレザーシャツ、白いトップス、Ivory Whiteのシルクネップデニム。
ワークウェアを連想させるブルゾンとデニムの組み合わせだが、色と素材を置き換えることで無骨さを弱めている。ブルーのレザーシャツを中間層に挟むことで、淡いアクアとアイボリーの間に明確な芯が生まれる。
日常へ応用するなら、淡色のアウターとパンツを先に揃え、中間着だけを濃い青へ変えると近いバランスになる。
LOOK 02|Color Duffle

Cerulean Blueのウールヘリンボーン・ダッフルコートに、Purpleのカシミヤストール、白とアイボリーの内側を合わせたLOOK。
ダッフルコートは形そのものにクラシックな強さがある。そのため、鮮やかな青でも子どもっぽく見えにくい。紫のストールは別の強い色だが、面積が細く、柔らかな素材なので対立ではなく奥行きとして働いている。
色のコートを選ぶときは、パンツまで暗くするより、白やアイボリーで縦の明るい面を作ると重さを逃がしやすい。
LOOK 03|Soft Color Energy

Lime Yellowのシルクフリース・ブルゾン、Green Stripeのウールジャージー、Mix Mintのストール、Top Charcoalのツータックスラックス。
5 LOOKの中で最も明るい組み合わせだが、色の方向はばらばらではない。ライム、グリーン、ミントが近い領域でつながり、チャコールが下半身をまとめている。
明るい色を二つ以上使うなら、色相を近づけ、パンツや靴を暗くする。このLOOKは、その実用的な例として読める。
LOOK 04|Polished Leather

Royal Blueのカーフレザー・ダウンブルゾン、PurpleのカシミヤVネック、Faded Blackのワイドデニム。
レザー、ダウン、カシミヤ、デニムという異なる素材が重なる一方、色は青、紫、黒の深い範囲に絞られている。レザーの光沢が主役になるため、ほかの面を暗くマットにすることで、全体が過剰に見えない。
光沢のあるアウターを着るときは、中と下をマットな素材へ寄せると扱いやすい。
LOOK 05|Layered Contrast

Blackのレザーダウン、Light Orangeのナイロンダウンベスト、Greenのモックネックニット、Royal Blueのコーデュロイパンツ。
黒いアウターを額縁のように開き、オレンジとグリーンの中間層を見せる。さらにパンツへ青を置くことで、上半身だけの差し色で終わらない。色数は多いが、各色の面積とレイヤー順が明確だ。
再現するときは、まず黒いアウターを用意し、その内側に一つの明るい色を置く。パンツの色まで変えるのは、そのバランスに慣れてからでもよい。
日常へ取り入れる3つの方法
1. 鮮色を一つ増やす前に、ニュートラルの面積を決める
白、アイボリー、チャコール、黒のどれを土台にするかを先に決める。鮮色は残った場所へ置く方が整理しやすい。
2. 色ではなく素材でレイヤーを分ける
同系色でも、光沢のあるアウター、起毛したニット、畝のあるパンツを重ねれば立体感が出る。逆に色数が多い場合は、似た質感を連続させない方が各層を読み取りやすい。
3. 差し色は小物だけとは限らない
ストールのような細い面、シャツやベストのような中間層、パンツのような大きな面。差し色をどこへ置くかで印象が変わる。最初は中間層から試すと、アウターで見える量を調整できる。
AYTH’S SCORE|AURALEE AW2026 コレクション評価
素材、色、レイヤリング、日常への取り入れやすさ、AYTHが提案する視点との親和性。この5項目から、AURALEE AW2026を編集部独自の基準で評価する。
45 / 50 — HIGHLY RECOMMENDED
| 評価軸 | Score | AYTHの見方 |
|---|---|---|
| Material | 10 / 10 | 素材の違いが装飾ではなく、色とシルエットの見え方そのものを作っている。 |
| Color | 9 / 10 | Royal BlueやLime Yellowを使いながら、ニュートラルとの面積配分で静けさを保つ。 |
| Layering | 9 / 10 | 色と質感の役割が各層で明確。秋冬の重ね着を新鮮に見せる。 |
| Wearability | 8 / 10 | 発想は日常へ応用しやすいが、LOOKどおりの多色使いには慣れが必要。 |
| AYTH Fit | 9 / 10 | 服の細部を楽しみながら、毎日のスタイルへ考え方を持ち帰れる。 |
AYTH’S SCOREは、公式Look Bookから読み取れるコレクションの表現と、日常のスタイリングへ持ち帰れる発見を評価する編集企画です。実物の品質検査や商品単体のレビューではありません。
静かな服は、色が少ない服ではない
AURALEE AW2026の色は、素材から独立していない。Royal Blueがレザーやコーデュロイに置かれ、Lime Yellowがシルクフリースに置かれることで、色そのものの強さが質感へ変換されている。
静かに見える服は、必ずしも色が少ない服ではない。色、素材、面積、レイヤーの順序が整理されている服だ。この5 LOOKは、その違いを分かりやすく示している。
AURALEE AW2026から持ち帰りたいのは、同じ服を揃えることではない。ニュートラルな土台を決め、異なる質感を重ね、最後に一色だけ予想外の色を置く。その順序なら、日常のワードローブにも無理なく応用できる。
掲載情報について
- 掲載した商品名、カラー、レイヤリングはAURALEE公式AW2026 Look Bookで確認できた範囲を基準としている。
- 販売時期、在庫、価格、店舗情報は変動するため、最新情報はAURALEE公式サイトで確認してほしい。
- 人物イラストと図解はAYTHによる編集的解釈であり、AURALEE公式アートワークではない。
- 本稿にAffiliateリンクは含まれていない。


